<キャロウェイ世界ジュニアゴルフ選手権>

◇3日目◇7月17日◇米国サンディエゴ周辺11コース◇男女各6部門

6歳以下から13-14歳の部までが最終ラウンドを行い、13-14歳の部男子で、杉原大河(徳島・南部中3年)が、初の世界一に輝いた。首位でスタートし、前半で3打リードしたが、12,13番連続ボギーでリュウ(米国)に首位を明け渡した。15番パー5で3メートルのバーディーを奪い、ボギーとしたリュウを再逆転。最後は2打差をつける通算12アンダー201で、世界ジュニア挑戦6度目で念願の「世界一」をつかんだ。前日首位だった9-10歳の部女子の梶谷翼(岡山・総社東小5年)は2位、7-8歳の部男子の澤田竜成(東京・第二亀戸小3年)は3位に終わったが、来年のシード権を獲得。そのほか、6歳以下の部男子の梶谷駿(岡山・総社東小1年)、7-8歳の部女子の藤代成実(埼玉・八幡小3年)山本実希(栃木・北郷小2年)、9-10歳の部女子の川畑優菜(千葉・佐貫小3年)がシード権を獲得した。第3ラウンドとなった15-17歳の部は、女子では日本女子アマ覇者の蛭田みな美(福島・学法石川高2年)が5アンダー67をマークし、通算9アンダー207でニファツォフォン(タイ)とともに首位に立ち、出場した4人とも予選を通過。通算3アンダーで6位の永井花奈(東京・日出学園高2年)と蛭田で組む団体戦でも首位に立った。3人が出場した男子は石過功一郎(兵庫・クラーク記念国際高1年)がただ一人、通算9オーバーの40位で予選を通過した。
【協会広報ライター・赤坂厚】

【PGM日本代表最終成績】

▽13-14歳の部【男子】①杉原大河(徳島・南部中3年)201(23)青山晃大(愛知・笈瀬中3年)216(36)石坂友宏(神奈川・岩戸中3年)219【女子】①タバタナキット(タイ)193⑦平塚新夢(宮城・住吉中3年)213⑭長野未祈※(千葉・麗澤中2年)216(26)鬼塚貴理(熊本・竜南中2年)219(32)石井理緒※(新潟・本丸中3年)220(38)金城和歌奈(沖縄・西崎中3年)222
▽11-12歳の部【男子】①ヴィリップス(オーストラリア)210⑨久常涼※(岡山・広野小6年)217⑨三田真弘(岡山・京山中1年)217(33)杉浦悠太(愛知・高浜中1年)225【女子】①スタンフォード(米国)214⑰平木亜莉奈(群馬・下里見小6年)227⑲阿部未来※(東京・東落合小6年)228(33)望月美甫(静岡・田子浦小6年)235
▽9-10歳の部【男子】①ネモト(米国)181⑨大野倖(千葉・吉岡小5年)191(37)清水蔵之介※(東京・八坂小3年)199(44)縄田領一(山口・中村小5年)201【女子】①パノ(米国)167②梶谷翼※(岡山・総社東小5年)168③川畑優菜※(千葉・佐貫小3年)175⑥越田泰羽(神奈川・上矢部小5年)176⑧飯島早織※(栃木・矢板小3年)177⑭中原碧望(宮崎・赤江小5年)183
▽7-8歳の部【男子】①コサルッタ(タイ)178③澤田竜成※(東京・第二亀戸小3年)186⑧清水拳斗(埼玉・中尾小3年)190⑧本大志(神奈川・末吉小3年)190⑭矢野仁貴※(愛知・東山小2年)196【女子】①チェイシルプルングラン(タイ)172②藤代成実(埼玉・八幡小3年)183③山本実希※(栃木・北郷小2年)189⑥西山知里(山梨・山梨大付小3年)196
▽6歳以下の部【男子】①ジッタソーム(タイ)169②梶谷駿(岡山・総社東小1年)170【女子】①ドブヒー(米国)175④大橋莉生(静岡・入野小1年)194

【PGM日本代表3日目成績】

▽15-17歳の部【男子】①オオニシ(米国)212(40)石過功一郎(兵庫・クラーク記念国際高1年)224(以下予選落ち)金子優将(栃木・作新学院高2年)233、坂本将規(香川・香川西高2年)236【女子】①蛭田みな美(福島・学法石川高2年)207①ニファツォフォン(タイ)207⑥永井花奈※(東京・日出学園高2年)213⑨畑岡奈紗(茨城・翔洋学園高1年)214⑱小倉ひまわり(東京・日出学園高1年)219
(※はシード選手)

【雑観】

杉原大河(徳島・南部中3年)が激戦の末、初の世界一を手にした。モーガン・ランR&C(6455ヤード、パー71)で行われた13-14歳の部男子で、杉原は前半のインを終えて2位リュウ(米国)に3打差をつけ、逃げ切り濃厚にみえたが、3番で20メートルから3パット、4番ではOBのある右へ行った第1打が見つからず、ロストボールでティーグラウンドに戻って打ち直した。3打目も右のベアグラウンドの不運だったが、うまく7メートルに乗せ、これを沈めてボギーに切り抜けた。バーディーのリュウにここで逆転されたが「悪い流れは変わったと思った」という。15番パー5で3メートルを沈めてガッツポーズ。バンカーからホームランしたリュウがボギーで再逆転し、そのまま押し切った。


「やっと夢が叶いました。うれしい」と、満面の笑顔。小3で知り合いに勧められて、当時個人でエントリーできた世界ジュニアに初出場。回を重ねるうちに「世界ジュニアで優勝したい」と、2011年に日本代表方式になってからも挑戦を続け、今年で6度目の出場。2位2回(2010年、12年)はじめ、すべてトップ10入りしていた。「海外の人と回るのはいい経験になり、友人も出来た」と、この大会で成長していった。今年はドライバーの不調に悩んできた。「ゆっくりと振るようにして、まっすぐに行くようになった」と、工夫をしてきた。ただ「今日の後半は、そういうことを考えられず、悪いスイングが出てしまった。終盤、優勝争いのときのドライバーの精度はまだ足りません」と課題も口にした。

1968年から開催されているこの大会で、日本がこの部門で優勝したのは初めて。チームメートの青山晃大が「うれしいな。こんなに強い人が日本にいるんだから」とつぶやいた。「世界ジュニアの申し子」は、同世代への刺激と目標になった。


15-17歳の部女子で、蛭田みな美(福島・学法石川高2年)が、5アンダー67の好スコアで首位に浮上した。「パー5でバーディーをとりたい」というプランとおり、9、18番では2オンしてバーディーを奪うなど、6バーディー、1ボギー。「17番で4メートルのパーパットが入ったのが大きかった」といい「でも、1メートルのバーディーパットを外したり、集中力に差がある」と反省も。この日はフェアウエーウッドの調子がよく、長いパー4が多いインで「3日間連続ボギー」という苦手の10番以外は切り抜けた。日本女子アマ覇者として、誕生日の関係で最後となる世界ジュニアへの挑戦。「最終日は伸ばさないと(優勝は)無理。やることをやるだけです。冷静な判断を」と、気を引き締めていた。


梶谷翼(岡山・総社東小5年)駿(岡山・総社東小1年)が「姉弟世界一」を惜しくも逃した。9-10歳の部女子で首位スタートの翼は、1,3番でボギーにして序盤でリズムに乗れず、追い上げたパノ(米国)に逆転を許した。2打差で来た最終18番でパノがボギーにしたが、6メートルのバーディーパットが外れて2度目の世界一ならず。「悔しい。(スタート時は)そんなに緊張していなかったんだけど」と振り返った。この世代ではずば抜けた飛距離を持つが、会場がパー4が2つのショートコースで「(得意の)ドライバーが1回も打てなかった」という。年齢が11-12歳に上がる来年の方が、コースとしては合っているようだ。
 
表彰式で悔しい表情が取れず、チームメートの中原、越田に「翼ちゃん、笑って。アイーンやろうよ」と促され、やっと笑顔ものぞいた。6歳以下の部男子の弟・駿はジッタソーム(タイ)とデッドヒートを展開。1打リードしていた17番でボギーをたたき、バーディーの相手に逆転され、18番で2・5メートルのバーディーパットがカップにけられて2位。「来年までにたくさん練習する」と、こちらも悔しそうだった。


7-8歳の部女子で、藤代成実(埼玉・八幡小3年)と山本実希(栃木・北郷小2年)が2、3位フィニッシュした。1,2位争いと3位以下の争いの差が開いていたこともあり、藤代はチェイシルプルングラン(タイ)との一騎打ちになったが、実力的に上の相手に力で押し切られた。「悔しくないけど、楽しくもなかった。2日目までうまく行ったけど、優勝を狙った今日が少しだめだった」と、8オーバー65をたたいて最後は11打差をつけられた藤代はサバサバした表情。山本は「ちょっと悔しいけど、3位はよかった」と納得の表情。米国に来てからホームシックで毎日のように泣いていたという。「来年はママと来たい(今回は父がキャディー)。そしたら優勝できると思う」と、リベンジを宣言。表彰式では、2人ともトロフィーを手に笑顔を振りまいていた。


【3日目コメント】

☆青山晃大(愛知・笈瀬中3年=13-14歳の部男子23位)
「全然通用しなかった。これが自分の実力だと思う。いい経験になった。バーディーが取れそうで取れないコースだった。練習しかないと思う。体力、技術、精神力全部。(杉原)大河を目標にしたい」


☆石坂友宏(神奈川・岩戸中3年=13-14歳の部男子36位)
「悔しい。ドライバーは思い切り打てたけど、パットの距離感が不安だった。アプローチには自信がついたけど、飛距離ですね。このままだと世界に通用しない。体重を増やして、今までの倍の走り込みをしたい」


☆平塚新夢(宮城・住吉中3年=13-14歳の部女子7位)
「もっと頑張れたと思う。初日と最終日が悪かった。コースは狙うところをしっかり狙えば難しくはないと思った。グリーン周りは難しかったけど。ドライバーの飛距離は通用した。微妙な距離のコントロールショットをもっとやらないと」


☆長野未祈(千葉・麗澤中2年=13-14歳女子14位)
「日本の芝と違うので、アプローチとパターに悩んで、スコアを出すことができなかった。いろいろな人からアイアンショットとスイングはすばらしいといわれ、うれしかった。もっと磨きたい。1ヤードのパットを1000発1000中になるように練習しないと」


☆鬼塚貴理(熊本・竜南中2年=13-14歳の部女子26位)
「もっといけたかなと思います。コースは距離はあまりないけど、木とかバンカーがいろいろなとことにあって、グリーンが速かった。アプローチは通用したかなと思います。これからは2打目の正確性と、4~5メートルのパットの練習をしたい」


☆石井理緒(新潟・本丸中3年=13-14歳の部女子32位)
「情けない。去年(4位)より、コースが難しく感じた。よかったのは飛距離だけ。安定性を高めないといけない。あとは自分の(アイアンの)距離をしっかり把握したい」


☆金城和歌奈(沖縄・西崎中3年13-14歳の部女子38位)
「結果は悪かったと思う。広々してやりやすいゴルフ場でした。ショットの精度はよかったけど、アプローチ、パットの精度を高めないといけないと思った。課題は、体力をつけることと、体を作ることです」


☆久常涼(岡山・広野小6年=11-12歳の部男子9位)
「最終日の69はよかった。コースは難しくなかったけど、狭かった。ショットはよかったのでスコアが出たと思う。小技をしっかり練習したい」


☆三田真弘(岡山・京山中1年=11-12歳の部男子9位)
「コースは簡単だった。ゴルフをやめたほうがいいと思った。身長とドライバーの飛距離は自分の方が上だったと思う。3メートル以内につけるショットの確率と、3メートル以内のパットを入れる確率を高めたい」


☆杉浦悠太(愛知・高浜中1年=11-12歳の部男子33位)
「悪い日が続いてしまってだめだった。残念。ティーショットとパットが難しかった。飛距離はあまりかわらなかたっとおもう。バンカーからの寄せはうまくいった。ショットの飛距離と方向性を磨きたい」


☆平木亜莉奈(群馬・下里見小6年=11-12歳の部女子17位)
「3日間ともバーディーを先行させたのに、持続させられなかった。最終日にパープレーにできて自信になった。アップダウンは少ないのに難しく感じた。マナーは守れたと思います。誰も旗を持たないし、打つ前に声をかけようとする。日本ではありえないことばかりでした。これからはラインを読む力をつけたいです」


☆阿部未来(東京・東落合小6年=11-12歳の部女子19位)
「結果はあまりよくなかったと。池が多くて難しいコースだった。マナーはよかったと思います。アイアンの正確性を練習したい」


☆望月美甫(静岡・田子浦小6年=11-12歳の部女子33位)
「納得いくスコアが出せませんでした。コースを攻略できなかったことが一番悔しい。ティーショットが狙いづらかったことと、ラフが難しかったのが印象に残りました。アプローチは練習の成果が出たと思います。ピンを狙うショットがだめだったので、直していきたいです」


☆大野倖(千葉・吉岡小5年=9-10歳の部男子9位)
「目標の順位(5位)に入れなかったので悔しい。グリーン上のラインが読みにくくて、パットで苦労した。2日目はショットがよかった。ティーショットで確実にフェアウエーをとられられるようにしたい」


☆川畑優菜(千葉・佐貫小3年=9-10歳の部女子3位)
「1日目と最終日がだめだった。パットが入らなかった。コースが分かったんで、もっと練習する」


☆越田泰羽(神奈川・上矢部小5年=9-10歳の部女子6位)
「外国の選手とおしゃべりしたりして楽しかった。ゴルフはだめだった。1日目はショット、2日目はアプローチ、最終日は全部。でも、コースは自分に合っているような気がした。これからは、アプローチ、パット、ショットのどれか1つを完璧にしたいです」


☆飯島早織(栃木・矢板小3年=9-10歳の部女子8位)
「3日間やって楽しかった。ショットの方向性をもっと練習する」


☆中原碧望(宮崎・赤江小5年=9-10歳の部女子14位)
「悪い結果だったと思います。正確性が必要なコースで、難しかった。大会はいい感じでした。ドライバーがパー4で2回しか使えなかったけど、方向性はよかった。短い距離のアプローチもよかった。もっとショットの方向性をよくしたい」


☆澤田竜成(東京・第二亀戸小3年=7-8歳の部男子3位)
「シードが取れてよかった。グリーンが難しかったのと、コースが長かった。スイングはよかった。ロングパットをもっと練習したい」


☆清水拳斗(埼玉・中尾小3年=7-8歳の部男子8位)
「パターがよければシードが取れた。前よりもコースの距離は短く感じた。アプローチは通用した。自分のゴルフをすればいいとおもう」


☆矢野仁貴(愛知・東山小2年7-8歳の部男子14位)
「コースは簡単だった。飛距離は通用した。パパとグリーンでスパッとに打てる練習をしてきた。これからはもっと練習する」


☆西山知里(山梨・山梨大付小3年=7-8歳の部女子6位)
「アプローチとパターの練習をしてきたけど、悪かった。悔しかった。コースはそんなに難しくなかった。ドライバーの飛距離はよかった。アプローチとパターの精度を上げて、全部寄せワンできるようにしたい」