世界ジュニアは毎年7月に米国・カリフォルニア州サンディエゴで行われ、6歳以下から15-17 歳の部まで年齢別に男女12部門が実施される。第1回が開催されたのは1968年。日本の男子プロゴルフがツアー制になったのは73年なので、大会としての歴史、権威の重さもある。「世界のトップゴルファーへの登竜門」として認知されているといっていいだろう。歴代優勝者を眺めると、男子では、70年クレイグ・スタドラー、77年コーリー・ペイビン(ともに米国、15-17歳)、80年フィル・ミケルソン(米国、9-10 歳)、84年アーニー・エルス(南ア、13 - 14歳)らが名を連ねる。そして世界ジュニアの申し子的存在は地元カリフォリニアのタイガー・ウッズ。84年に当時もっとも低年齢部門だった9-10 歳で優勝し、91年に15-17歳を制するまでに全部門で6度の優勝を果たした。女子では、ロレーナ・オチョア(メキシコ)。90年に9-10 歳で初優勝し、94年まで5度の優勝を誇る。また02年にヤニ・ツェン(台湾)が13-14 歳で、11年にはキム・ヒョジュ(韓国)が15-17歳で勝っている。
世界ジュニアへは、日本からも多くの選手が挑戦してきた。1968年に第1回が開催された当初は米国選手中心の大会だったが、1980年に田中泰二郎が15-17 歳で優勝し、初めて日本に優勝カップを持ち帰った。
日本のジュニアゴルフ人口が増えてきた80年代以降、世界ジュニアという大会も日本に認知されるようになってきた。15-17歳のみ日本ゴルフ協会から派遣の形で送られていたが、それ以外の部門はサンディエゴ協会に個人で直接申し込む方式が長く続いていた。低年齢部門では金田久美子が98年に9-10歳で優勝するなど04年までに5 度の優勝を果たし、プロになってからも人気選手として活躍している。
そのほか、15-17歳では、03年に男子で池田勇太が優勝し、女子では05年に若林舞衣子、06年に宮里美香が世界一になっている。また優勝はできなかったが、丸山茂樹、片山晋呉、藤本佳則、福嶋晃子、不動裕理、古閑美保、有村智恵ら、男女トッププロも上位に入っている。宮里藍は02年15-17 歳に自費で挑戦。父優さんは「2人で車に乗って、ああでもないこうでもないと、会場探しながらの珍道中だった」と述懐している。結果は10位だったが、世界に羽ばたいた宮里藍の原点になった大会でもある。08年には石川遼が出場、23位だった。
このように後にプロで活躍する選手が大勢チャレンジした大会だが、日本ではナショナルチームの選手が出る試合という認識があり、あまり身近な大会とはいえなかったのが現実。
世界中の有望選手が集まるだけに、自分と同じ年齢で世界ではだれがすごいのか、どんなレベルなのかを肌で知ることができるのがこの大会。これまでは高年齢部門が注目されていたが、現在では低年齢部門も無視できなくなっている。11年に男子11-12歳で2位に11 打差をつけて圧勝した中国のグァン・ティンランは昨年アジアアマで優勝し、2013年のマスターズへの出場資格を手にした。14 歳での出場はもちろん史上最年少。ゴルフの低年齢化の象徴的な出来事になった。
「自分とおなじ年齢で世界ではだれがすごいのか、どんなレベルなのかを肌で知ることができる。将来、世界で戦う選手になりたいと目標を持っているなら、なるべく早く世界の空気に触れて、自分のゴルフをみつめることが大切だと思う」と、井上代表理事は話している。