15-17歳の部男女の最終ラウンドが行われ、女子の畑岡奈紗(茨城・翔洋学園高2年)が「世界一」に輝いた。3打差首位でスタートし、2位パファンコン・タバタナキット(タイ)に一時は1打差に詰め寄られたが、後半に入って3バーディーで突き放し、通算10アンダー278で優勝した。このカテゴリーの日本人優勝は2006年宮里美香以来、4人目。8位に入った小倉ひまわり(東京・日出学園2年)と組んだ団体戦(非公式)も2位に17打差をつけ、昨年(蛭田みなみ、永井花奈)に続いて優勝した。平塚新夢(茨城・明秀学園日立高1年)も8位に入り、来年のシード権を確実にした。男子は杉原大河(徳島・生光学園高1年)がスタートから3連続ボギーも、その後粘って通算6オーバー11位に入ったのが最高だった。
【PGM日本代表最終成績】
▽15―17歳の部男子(パー72)
【1位】ニーマン(チリ)=285
【11位】杉原大河(徳島・生光学園高1年)=294
【48位】吉田泰基(香川・香川西高3年)=307
▽同女子(パー72)
【1位】畑岡奈紗(茨城・翔洋学園高2年)=278
【8位】小倉ひまわり(東京・日出学園高2年)=290
【8位】平塚新夢(茨城・明秀学園日立高1年)=290
【協会広報ライター・赤坂厚】
雑観
畑岡奈紗(茨城・翔洋学園高2年)が勝負強さをみせ、15―17歳の部女子で9年ぶりの世界一を勝ち取った。パファコン・タバタナキット(タイ)に3打差首位でスタート。3番と5番でともにチップインバーディーを奪うなど、その差をキープして迎えた9番パー5で思わぬ落とし穴が待っていた。右上15メートルに2オンしたが「あそこに打ったのはだめでした。狙わなきゃ良かったと思った」ときつい下りに打ちきれず4パットのボギー。一騎打ちとなったタバタナキットがバーディーを取って1打差になった。10番でタバタナキットがボギーをたたいた後、勝負の帰すうが決したのは11番。「あれが大きかったです」という3メートルのバーディーパットを沈めてガッツポーズも出た。タバタナキットが連続ボギーにして4打差。14番パー5がともにバーディー後、16番でピン上3メートルを決めてダメを押した。「まだ実感がわかないんです。勝ったんだなとは思うんですけど」。最終18番ではウイニングパットを沈めた直後、タバタナキットにペットボトルの水をかけられて、健闘をたたえて抱き合った。日本選手団のチームメートからも水をかけられて、胴上げで祝福された。昨年、PGM日本代表選抜大会を勝ち抜いて、本戦で8位となって今年のシード権を獲得した。「去年はやっとシードという感じ。でも、今年は優勝を目標に来た」という。日本選手団より早めに現地入りし、ホームステイをしながら調整してきた。昨年は世界ジュニア後の日本ジュニアで、首位で迎えた最終日に6打差を勝みなみに逆転された。その後、ドローだった球筋をフェードに変える取り組みをしている。「日本ジュニアのことがあったので、首位でスタートするのが怖かった。ドキドキしました」と振り返る。日本での悪夢を、世界の舞台で振り払った。
応援に来た父仁一さんは号泣。「父は涙もろくて」と本人は涙なしの笑顔をみせた。小学校時代は野球、中学に入ってからは陸上短距離の選手だった。ゴルフを本格的に始めたのは小6の夏ぐらいからという。6年で世界一、しかもジュニアとしては最高年齢層を制した。「最終日最終組で出たのも初めて。この経験はこれからも優勝争いしている時に思い出します」という。表彰式では、来年4月の米女子ツアー「スウィンギングスカート・クラシック」への出場招待状を受け取るサプライズ。今度は世界から追われる立場になる。
日本選手団(PGM日本代表)女子主将を務めた15―17歳の部女子の小倉ひまわり(東京・日出学園高2年)が、8位に入って来年のシード権を確実にするとともに、目標の1つだった畑岡奈紗と組んだ団体戦で優勝を果たした。「(個人戦は)悔しいしかないです」と、伸びきれなかった最終日を悔やんだ。前半は1つスコアを伸ばしたが、12番から4連続ボギー。「上の1人が崩していたので3位を狙えるかもしれないと思ったら気持ちがテンパってしまって。縦の距離が合わなくなって、狙っているのにバーディー来ないので焦っているうちにボギーが来てしまって」と、精神的に崩れた。それでも、16番で1メートル弱につけるバーディーで通算2オーバーに踏みとどまった。団体戦では2位カリフォルニアチームに17打差の圧勝。コンビを組んだ畑岡の世界一に「うれしいです。去年負けて、今年負けて、来年は勝ちたい」と、ライバルの優勝に刺激を受けていた。
15―17歳の部男子では、粘った杉原大河(徳島・生光学園高1年)の11位が最高だった。昨年13―14歳の部で世界一になり、今回は上のカテゴリー初挑戦。4日間を戦い「もったいない部分もあったけど、3日目に最数組で回ったし、いい経験になりました。飛距離とか、精度とか、課題があります」と、振り返った。この日は首位に4打差でスタートしたが、1番でいいティーショットを打ちながらディボット跡に入る不運で「いきなりだったので厳しかった」と、第2打を右に大きく外すミスから、3連続ボギーとなって、優勝争いからは脱落した。「外国の選手は良くない時でも良くないなりにバーディーをとってくる。ドライバーは毎日調子がいいわけじゃないので、他のクラブでしっかりカバーしてバーディーを奪えるようにしたい。来年は優勝を目指します」と、次への収穫はあった様子だった。
コメント
〈戦い終わって〉
◆15―17歳の部男子
☆吉田泰基(香川・香川西高3年=48位)
「まだまだ飛距離とか、アプローチとか、全然かなわない。飛距離アップと小技が課題だと思う。ロブショットの距離感とか、距離のあるバンカーの対応とか、全然通用しなかった。アンダーパーを1日さ出せた(3日目719のがでかいと思う)
☆西山大広(香川・香川西高3年=3日目予選落ち)
「予選で落ちたけど、ドライバーとかは大丈夫だと思った。でも、セカンドショットでは、みんな球が高くてピンを狙っていったけど、僕は低いのでどうしても安全な方を狙ってしまう。グリーン周りとパターはよくなかった。思ったところに打てているのに入らない。いい経験になった」
☆高橋慧(新潟・開志学園高3年=3日目予選落ち)
「距離の差がだいぶありました。コースの長さに圧倒された感じ。スコアが出なかった原因だと思う。フェアウエーにボールを置く技術を身につけたい。今回はほとんどフェアウエーに行かなかった。米国のコースは難しい、日本のコースは簡単だと思った。英語が話せなくて、世界との差を感じた」
◆同女子
☆平塚新夢(茨城・明秀学園日立高1年=8位)
「初日以外はまあまあだったけど、初日が全くダメでした。芝が日本と違うので難しく、特にラフに入れると難しかった。ドライバーの飛距離は通用すると思った。来年おシード権は取れたと思うので良かった。もっとウエッジの精度を磨いて、グリーン周りのショートゲームを練習してきたい」
☆今綾奈(埼玉・埼玉平成高2年=3日目予選落ち)
「全力は尽くしました。最後まで諦めなかった。日本と違う芝で苦戦しました。風も日本で感じるのとはちょっと違っていた。3日目にやっとショットが当たってきたときは、飛距離は通用するなと思いました。大きな収穫だった。きついフックが出てしまうスイングの矯正と、アプローチの引き出しを増やすこと、マネージメントの正確性、課題がたくさん見つかりました」
☆吉田莉生(埼玉・埼玉栄高1年=3日目予選落ち)
「日本のコースと違って、ラフとかが難しかった。風とかもちゃんと考えられなかった。3日間、思うようにできませんでした。一緒に回った子とは飛距離が違いすぎ。30ヤードぐらい前に行く。迫力があった。来年も出たい。課題はたくさんあって言葉にできません」