<IMGA世界ジュニアゴルフ選手権>
13―14歳の部以下の男女各5部門が最終ラウンドを行い、日本選手団(PGM日本代表)は4部門で「世界一」に輝いた。11―12歳の部女子で昨年覇者の梶谷翼(岡山・山陽女子中1年)が通算8アンダーに伸ばして前日1打差2位から逆転で2連覇を達成。7-8歳の部男子では弟の駿(岡山・総社東小3年)も3打差2位から逆転で優勝し、日本選手団初の「姉弟同時優勝」の快挙になった。6歳以下の部では、男子は根本悠誠(千葉・小山小1年)が大会新の通算7アンダーで優勝、女子の長峰真央(千葉・北貝塚小1年)も2位に16打差で圧勝し、こちらも日本選手団初の「同一部門アベック世界一」に輝いた。13―14歳の部女子で、第2ラウンド首位の比嘉里緒菜(沖縄・嘉数中2年)は通算9アンダーでヴォラヴィスティクル(タイ)とプレーオフとなり、2ホール目で敗れて2位だった。大会後に発表される来年のシード権は昨年実績(13―14歳から7-8歳の部は男女各6位、6歳以下の部男子3位、女子2位まで)によると、13―14歳の部女子で比嘉のほか4位の西郷真央(千葉・麗澤中3年)、9―10歳の部女子で2位の藤代成実(埼玉・八幡小5年)と3位の清本美波(愛知・向山小5年)、7―8歳の部女子で2位の清水心結(埼玉・中尾小2年)が確保したとみられる。
4日間大会の15―17歳の部では予選通過がかかる第3ラウンドを行い、女子で連覇狙う畑岡奈紗(茨城・ルネサンス高3年)が通算2アンダーで首位に4打差2位につけ、平岡瑠依(大阪・大阪学芸高2年)、小倉ひまわり(東京・日出学園高3年)、平塚新夢(茨城・明秀学園日立高2年)、河野杏奈(千葉・麗澤高2年)が予選を通過。男子は河本力(愛媛・松山聖陵高2年)がただ1人、通算8オーバーの42位で予選通過を果たした。
【PGM日本代表最終成績】
▽13―14歳の部男子(パー71)
【1位】マイチョン(米国)=202
【45位】松田正史(熊本・花陵中1年)=220
【57位】小林大河(東京・東金町中1年)=222
【66位】栗原悠宇(埼玉・藤中3年)=224
【95位】豊里裕士(沖縄・恩納中3年)=228
▽同女子(パー72)
【1位】ヴォラヴィスティクル(タイ)=207
【2位】比嘉里緒菜(沖縄・嘉数中2年)=207
【4位】西郷真央(千葉・麗澤中3年)=213
【13位】長谷川せら(岐阜・稲羽中2年)=218
【20位】郡山瞳(宮城・寺岡中3年)=220
▽11―12歳の部男子(パー72)
【1位】チョクプラジャクチャット(タイ)=212
【8位】黒田裕稀(兵庫・八条小6年)=216
【23位】北添海翔(奈良・伏見中1年)=219
【64位】縄田領一(山口・高川学園中1年)=228
▽同女子(パー72)
【1位】梶谷翼(岡山・山陽女子中1年)=208
【9位】川畑優奈(千葉・佐貫小5年)=219
【10位】杉浦愛梨(愛知・高浜中1年)=223
【13位】花田華梨(栃木・宝木中1年)=226
▽9―10歳の部男子(パー72)
【1位】コン(米国)=208
【24位】橋本拓英(三重・南が丘小4年)=229
【39位】池由哉(新潟・根岸小5年)=236
▽同女子(パー56)
【1位】チャイシルプラングルアング(タイ)=168
【2位】藤代成実(埼玉・八幡小5年)=171
【3位】清本美波(愛知・向山小5年)=172
【12位】栗田怜奈(千葉・小栗原小5年)=184
▽7―8歳の部男子(パー64)
【1位】梶谷駿(岡山総社東小3年)=188
【32位】西山陽斗(北海道・開西小3年)=215
▽同女子(パー57)
【1位】ドヴヒー(米国)=175
【2位】清水心結(埼玉・中尾小2年)=183
【7位】瀬谷里美(埼玉・西町小3年)=188
【12位】豊田ヒカル(熊本・築山小3年)=197
▽6歳以下の部男子(パー54)
【1位】根本悠誠(千葉・小山小1年)=155
▽同女子(パー54)
【1位】長峰真央(千葉・北貝塚小1年)=168
【PGM日本代表第3ラウンド成績】
▽15―17歳の部男子(パー72)
【1位】チョイ(米国)=209
【1位】ニーマン(米国)=209
【42位】河本力(愛媛・松山聖陵高2年)=224
【予選落ち】西脇まあく(大阪・興国高2年)=225
【予選落ち】大澤優(新潟・開志国際高2年)=232
【予選落ち】五十嵐瑠亜(新潟・開志国際高2年)=236
▽同女子(パー72)
【1位】サソ(フィリピン)=210
【2位】畑岡奈紗(茨城・ルネサンス高3年)=214
【7位】平岡瑠依(大阪・大阪学芸高2年)=219
【17位】小倉ひまわり(東京・日出学園高3年)=221
【25位】平塚新夢(茨城・明秀学園日立高2年)=225
【37位】河野杏奈(千葉・麗澤高2年)=229
【予選落ち】山路晶(宮城・東北高3年)=236
【予選落ち】奥山友梨(熊本・熊本国府高1年)=237
(協会広報ライター・赤坂厚)
雑観
11―12歳の部女子の梶谷翼(岡山・山陽女子中1年)が、2連覇を成し遂げるとともに、7-8歳の部男子を逆転で制した弟の駿(岡山・総社東小3年)と、日本選手では初の「姉弟同時優勝」を成し遂げた。首位スチクト(米国)に1打差でスタートした梶谷は、前半で3つのバーディーを奪って通算8アンダーにスコアを伸ばして早くも逆転。そのまま逃げ切るかに見えたが、思わぬ展開に。12番パー3で第1打がバンカーの目玉になり、2打目で出ず今度はバンカーのアゴにささって、3打目でやっと脱出。ダブルボギーにした。13番パー5では奥3メートルに2オンしたがバーディー止まりで、アウトで2つスコアを落としていた同組のスチクト、チャン(香港)もバーディーと息を吹き返した。目の前の敵はいいが、前の組のウ(台湾)がバーディーをと取っていることが気になる。15番で奥8メートルから3パットのボギーにして「たぶん差は1打しかない」と考えていた。
勝負強さはここから。16番パー3で下から10メートル以上あるロングパットを入れた。17番パー3では「狙いってはいなかった」という右の林越え方向に飛んだ第1打が木に当たって前に出たのが幸運だった。池の手前にレイアップし、第3打でピン左下2メートルにつけ、連続バーディー。通算8アンダーでホールアウトしたが、前の組が分からず、優勝の喜び表現はなし。掲示板にウのスコアが記入され、2打差で勝ったのを知って、ようやく笑顔がのぞいた。
年齢カテゴリーがあるこの大会が、梶谷にとってはプレッシャーだった。今年は女子ツアーにも2試合参戦。6月の日本女子アマでは12歳で一時は優勝争いに顔を出し、6位に食い込む大健闘で話題になった。「絶対に負けられない。ここで負けたら、上では勝てないから」と、自分に「優勝」を課した。また、9―10歳の部で負けた1つ年下のパノ(米国)が同じカテゴリーに上がってきた。「パノにリベンジする」という意識もあったという。連覇を決めた気分は「ホッとした」だった。
この日は弟の駿も優勝争いをしていた。「3打差あるし、朝はふざけていたし、応援する気も起きない」と厳しかったが、表彰式後にすぐ近くの7―8歳の部の会場へ。移動中に駿の逆転優勝を知り「せっかく自慢してやろうと思っていたのに」と口では言うものの、顔は笑っていた。駿はこの日、9番でイーグルを奪うなど2アンダーで回り、通算4アンダーで逆転優勝。もらったトロフィーは姉と同じ大きさに喜び、「スコアカード出したときに1位だっていわれた。優勝せんと、もうここにつれてきてもらえないから頑張った」と、胸を張った。
一昨年も2人で優勝寸前までいったが、ともに2位。3年越しに、家族の夢がかなった。2人で同じカップを抱いて記念写真に納まった。梶谷は「プロの大会で今までマンデーは通るけど本戦で予選落ちだったんで、これからは決勝ラウンドに行くのを目標にしたい」と、次のステップアップを目指す。
13―14歳の部女子で第1ラウンドから首位を走っていた比嘉里緒菜(沖縄・嘉数中2年)が、惜しくもプレーオフで「世界一」を逃した。この日は「欲を抑えすぎてパターがショートしては入らな過ぎました」と振り返るように、前日まで2日間で14バーディーを奪った攻撃的なパッティングが影を潜めた。ボギーが先行する苦しい展開の中、通算9アンダーで1打リードして最終18番パー5を迎えた。「相手(ヴォラヴィスティクル=タイ)が飛ぶので、グリーン近くまで第2打で来る。自分がバーディーをとらないと負けると思った」というように、相手の飛距離に威圧されていた部分もあった。案の定、バーディーを奪われて並び、プレーオフに突入。18番の繰り返しで行われた2ホール目。第3打で1メートルにつけられ「4メートルぐらいのバーディパットで、入れたかったけど右に外してしまった」と、プレーオフ負けで無念の2位になった。
勝負がついた瞬間「旗ざおを持っていたんですけど、優勝パットを入れられたときは、終わりたくなくて差したくなかった。涙が出てきて、泣きながら差しました」と打ち明ける。それでも、出場を目指してPGM日本予選3度目の挑戦で出場した世界の舞台で、優勝争いを引っ張ったのはりっぱ。「初日(65)は運もあったけど、2日目から気持ちのコントロールが難しくなってしまいました。最終日も5打差あったので、自分にブレーキをかけてしまった。優勝を、と思ったんですけど。これからは、プレッシャーに強くなるようにしたい」と、今後への課題を挙げ「来年も出場できるので、リベンジしたい」と誓った。
6歳以下の部男女で日本選手団としては初めての同部門アベック優勝を、根本悠誠(千葉・小山小1年)と長峰真央(千葉・北貝塚小1年)が成し遂げた。根本はこの日も3アンダー51をマーク。通算7アンダーで2位に13打差をつける圧勝だった。気分を聞くと「大会新記録っていわれたよ。優勝はなんともなかったけど、そっちはうれしかった」と、すまし顔でこたえた。これで、優勝のご褒美のマスターズのDVD((2002年、2003年)を買ってもらえるそうで「楽しみ」だという。長峰は「1番(49ヤード)でホールインワンしたんだよ。ころころって入った。びっくりした」と、絶好の滑り出し。「やったーと思った。優勝できると思った」というように2オーバー56にまとめ、2位に16打差と完勝。こちらの優勝ご褒美は「犬を飼っていいって。世話するから」と、うれしそうだ。2人とも第1ラウンドから首位の完全優勝だった。
7-8歳の部女子で、清水心結(みゆ、埼玉・中尾小2年)が粘って2位に食い込んだ。優勝したドヴヒー(米国)に8打差をつけられたが、この日は同じ2オーバー59で回った。「うれしいよ。キリンの首の長さぐらいうれしいよ」と、コロコロ笑う。5番で2メートル、8番では「このぐらいにだった」と指で10センチほどを示した2つのバーディーを奪った。ボギー4つに押さえたのは、24パットに収めたパッティングのよさ。「パターが良くて、2メートルぐらいは全部入った」という。「1位になろうと思ってやった。きょうは18アンダー出すつもりだった」と、相当な強気だ。昨年6歳以下の部で優勝していて2年シードがある。「来年は2位に何打差もつけて勝ちたい」と早くも「優勝宣言」していた。
西郷真央(千葉・麗澤中3年)が13―14歳の部女子で5位に入った。「2日間入っていたバーディーパットが思うように入らなかった」と追い上げられなかったが、シード権は確保できた。この日は「前半をイーブンで抑えて、後半伸ばそう」というプラン。5番で4メートルを入れて「1つ余裕ができたと思った」というが、後半がプラン通りに伸ばせず。最終18番では奥にこぼしてボギーの上がりになった。5位の結果に「シードをとれたのはうれしいと思うけど、トップと差がついてしまった(6打差)のが悔しい。後半のパー5で3つとも取れていたら、もっといい成績だったと思う」と、振り返った。来年に向けて「飛距離は人より飛んでいた。全体的な精度が必要だと思う。特にパットはもったいないプレーがあった。来年は15―17歳に上がるので、今回みたいにうまくは行かないと思う」と、課題を挙げていた。
コメント
☆小林大河(東京・東金町中1年、13―14歳の部男子57位)
☆長谷川せら(岐阜・稲羽中2年、13-14歳の部女子13位)
☆郡山瞳(宮城・寺岡中3年、13―14歳の部女子20位)
☆黒田裕稀(兵庫・八条小6年、11―12歳の部男子8位)
ショットは3日間よかったけど、パットが3日間だめだった。フェアウエイが狭くて、グリーンはポテトチップスみたいだった。ショットは世界でも通用すると思った。あとは、ショートパットを確実に決められるようにしてまた挑戦したい」
☆杉浦愛梨(愛知・高浜中1年、11―12歳の部女子10位)
☆花田華梨(栃木・宝木中1年、11―12歳の部女子13位)
☆佐藤夏恋(千葉・白幡小6年、11―12歳の部)
☆橋本拓英(三重・南が丘小4年、9―10歳の部男子24位)
☆池由哉(新潟・根岸小5年、9―10歳の部男子39位)
☆西山陽斗(北海道・開西小3年、7-8歳の部男子32位)
☆瀬谷里美(埼玉・西町小3年、7―8歳の部女子7位)
☆豊田ヒカル(熊本・築山小3年、7-8歳の部女子12位)