15-18歳の部男子で、本大志(東京・目黒日本大学高2年)が日本選手19年ぶりの世界一を手にした。2位に7打差をつけてスタートも、一時2位グループに4打差に追い上げられたが、11番のバーディーで後続を突き放し、通算11アンダー277で2位に5打差をつけて優勝した。このカテゴリーでは2013年池田勇太以来の日本選手の優勝となった。同女子は成田瑛麻(東京・学習院女子高等科3年)が1アンダー71と踏ん張り、通算6アンダーで7位に食い込み、例年実績(10位以内)なら来年のシード権を手にできる。
【協会広報ライター・赤坂厚】
<PGM日本代表選手団最終成績>
▽15-18歳の部男子(パー72)
①本大志(東京・目黒日本大学高2年)=277
㉑竹原佳吾(東京・早稲田大学1年)=292
㊲今村吏桜(大阪・東大阪大学柏原高1年)=297
▽15-18歳の部女子(パー72)
①マークス(オーストラリア)=278
⑦成田瑛麻(東京・学習院女子高等科3年)=282
㉝清本美波(愛知・誉高2年)=291
雑観
15-18歳の部男子で、本大志(東京・目黒日本大学高2年)が、このカテゴリーで2003年池田勇太以来の「世界一」を手にした。
2位に大量7打差をつけてのスタート。3番パー3で左のレッドペナルティーエリアに打ち込むダブルボギーで、雲行きは怪しくなってくる。6番パー5で第2打260ヤードのやや打ち下ろしを3番ユーティリティーで2メートルにつけてイーグルでいったん元に戻す。9番で50センチにつけてバーディーを奪ったが、10番で思わぬトラブルに見舞われる。第2打を右バンカーに入れ、ホームランした。奥からのアプローチも芝に食われて乗らず、1パットのダブルボギー。「何やってんだって思いました」という。追い上げてきたオーストラリアのコムライネンが1メートルほどのショートパットを外したため、4打差にとどまったが「あのパットが入っていたら、たぶん逆転されたと思う」と振り返るほど、流れは悪かった。
そんな暗雲を吹き飛ばしたのが11番。左のピンと反対、右15メートルほどに乗り、3パットもある状況で「絶対オーバーさせようと思った。ラインに乗って『入れ』って思いました」というロングパットが入り、流れが一気に変わった。コムライネンは1メートル強のバーディーパットを外し、続く12、13番でも1メートル強のパットが入らず連続ボギーで崩れて行った。「(相手が)焦っていると思いました。オーストラリアジュニアの3位と言っていましたけど、僕は日本アマの5位ですし」と笑う。攻めざるを得なくなった後続の選手たちが難コースにスコアを崩しだし、本も15、17番でボギーにしたが、最後は2位に5打差、余裕を持っての逃げ切り優勝だった。
このカテゴリーでは19年ぶりの優勝になる。「ホント、すごいことをした。やり切ったという感じです。最後、泣きそうになりました」と、優勝の瞬間の気持ちを話した。チームメートからペットボトルの水のシャワーで祝福を受けた。地元メディアのインタビューも受けるなど、米国に「MOTO」の名前が伝わった。この大会は全米から80以上の大学ゴルフ部のコーチらが視察に来た。初日2位の時は声をかけられなかったが、2日目66をマークして首位独走になったあたりからメッセージカードをもらうようになり「12枚ぐらいもらいました」と、笑う。
7-8歳の部から世界ジュニアに挑戦した。今回は3回目の出場。「世界のうまい人がたくさん来る大会で、運、正確性、マネジメント、練習量、全部がそろわないと勝てない試合に勝てた」と、自分自身に納得がいく勝利だった。
3年ぶりに日本選手団として参加した団長で、本のコーチでもある国際ジュニアゴルフ育成協会代表理事の井上透団長は「PGM日本代表選抜大会を経て選手団で参加して10回目。やっとこのカテゴリーで勝てました。これまで、河本力、杉原大河、蝉川泰果、中島啓太らこの世代のトップクラスを連れてきてもだめだった。距離や芝などで日本からパッと来て勝てるコースではありません。そこで11アンダーで優勝したのはすごいことです」と話した。本の特長として「ボールを止められる技術。高い弾道で、飛距離を犠牲にしても思ったところに打てる。ジュニア時代の松山(英樹)選手を見た時の印象と似ている。肝がすわっているので、どこへ行っても力を発揮できるタイプ」と話した。
本は現在高校2年生で、進路を考えているところだが「挑戦する場を米国に移したいなと思っています。全米の大学のコーチがみていたんで、緊張しました」と、4日間を振り返った。
15-18歳の部男子では、大学1年で年齢から最後の出場となる竹原佳吾(東京・早稲田大学1年)は4オーバーの21位だった。それでも「4日間やれてよかった。19年に来たときは(サウスCが工事中で)ノースCで。予選通過にかすりもしなかったけど、今年はいい位置で通過できてよかった。3年前とは言葉の壁が少なくなったので、テンパらなくてよかった」と振り返った。
12番で1アンダーとして「攻めて行こうとして、14番でバーディチャンスから3パットして流れが悪くなって4連続ボギーにしてしまった」とがっくり。「海風が強く、ジャッジが難しかった」と話した。
これからは大学ゴルフが舞台となる。「攻めなくていいところで攻めて流れを悪くする。詰めの甘さ、切り替えの遅さ、マネジメントなどもっと頭を使ってやりたい。爆発力をつけたい」と、課題を見つけた。
団体戦で竹原と組んだ初出場の今村吏桜(大阪・東大阪大学柏原高1年)は「4日間すごく楽しかった。海外と日本の選手の球が全然違うのが分かった。出てよかった」と話した。9オーバー37位に「飛距離が足りないと思った。毎回3番ウッドでしんどかったですが、ウッドの精度は世界一だと思えました」と、成績以上に自信はついた。
「PGM日本代表選抜大会で、これまでは落ちても、そこまで世界ジュニアに行こうという感じがしていませんでしたが、日本代表で来てみて、来年も絶対に出たいと思いました。体をしっかり作ってきたい」と、今後につながった。
登録2選手のスコア合計で競う団体戦は優勝以外の順位が公式には確定していないが、フィニッシュが表示されている中では3位。5アンダー571で優勝したオーストラリアには18打差だった。
15-18歳の部女子で、成田瑛麻(東京・学習院女子高等科3年)が苦しみながらも1アンダー71で回り、通算6アンダー282で7位に食い込んだ。
「初出場だったので7位には驚きと悔しさがあります」と総括。「きょうは4つバーディーあったんですが、全部タップインでした。そのほかのバーディーチャンスは全部外しました」という。この日はショットにムラがあり、いい時はピンに絡んだが、ティーショットが乱れて簡単にボギーにするシーンもあった。4バーディー、3ボギーに「スコアに起伏があり過ぎました」と振り返った。
初めての出場で「4日間楽しかった。最終日に一緒だった子たちはうまかったし、易しい英語で話しかけてくれてよかった」と笑顔を見せた。PGM日本代表選手団の女子主将を任されたが「女子の中では一番の成績を出せて、お手本になれたかなと思います」と話した。
大会後の発表になるが、例年10位以内に来年のシード権が与えられる。高校は卒業するが「シード権が取れたら来年も来ます」と宣言。「今回は練習ラウンドでもグリーンを理解できなかった。『どれだけチャンスを逃すの?』っていうぐらい入らなかった。もっと知識をつけてきます。4~5メートルのバーディーパットを沈められるようなラインを読む能力をつけたい。飛距離では負けていなかったので、来年は自信があります」と、早くも意気込みを見せた。
コメント
☆15―18歳の部男子で予選落ちした花村秀太(長野・東海大学付諏訪高2年)
☆15―18歳の部女子33位の清本美波(愛知・誉高2年)
☆15-18歳の部女子で予選落ちの安西歩美(茨城・土浦日大高1年)